著者紹介 片岡教授のHTPC研究室

片岡 裕    Yutaka Kataoka
大谷大学・人文情報学科・教授    Professor, Information Science, Otani University
(パミール高原にて)

まず観察、次に論理的に思考しよう

    私は研究者です。研究者は研究成果を論文にします。いくつか論文の題名を書いてみましょう。

[1]  Complete Nucleotide Sequence of the All Three Poliovirus Serotype Genomes. Jour. Molec. Biol., 1984.(これは第1著者ではありません)
[2]  A Model for Input and Output of Multilingual Text in a Windowing Environment ACM Transactions on Information Systems, Vol. 10, No. 4, pp. 438-451, Oct., 1992.
[3]  The Essentials for Developing Multilingual Computing Environment. The 2nd Workshop on "Multilinguality in Software Industry: The AI Contribution (MULSAIC'97)" International Joint Conference on Artificial Intelligence (IJCAI-97), pp. 1-8, Aug., 1997.
[4]  Hi-Fiデジタル画像の作成:明度と色調の1段階での補正法, 人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん:-)2000),情報処理学会,2000年12月15日(ページ番号がわかりません)

    [1]は、遺伝子の解析の論文です。どうやら基礎医学者のようです。[2]は、X Window Systemの国際化の構造の論文です。X Window Systemは、Windowsより先にMITで開発されたウインドウシステムです。そうすると、コンピュータの研究者のようですね。[3]は、国際化、つまり、多数の言語の文字を同時に混ざった文章を書く時の必要事項に関しての論文です。実は、言語学者なんでしょうか。[4]は、デジタル画像を正確に再現するために正しい画像データを作成する方法の論文です。画像処理の研究者なんでしょうか。謎が多そうです。
    私の専門は、情報科学ですが、同時に基礎医学者でもあり、言語学者でもあります。情報科学と言っても、たくさんの専門に分かれています。私の場合、国際化テキスト処理です。世界中の文字が読めなければ、国際化の研究などできません。
    国際化の研究は、結局、人間が認識している情報そのものの研究です。国際化から派生して、音や図形の正しい表現と正しい再生の重要さが判明しました。言語は文字を用いて書き言葉として表現されますので、知らない文字の学習には、正確にその図形を表現している画像データが必要です。同様に言語は、音声を用いて話し言葉として表現されますから、音声の正確な記録と正確な再生も必要です。この研究からの必要事項として、オーディオ・ヴィジュアル(通称AV:Audio Visual)の研究を始めました。


国際化の研究

    国際化は、全世界がネットワークで接続された現代社会では、必須事項です。あなたが、世界中どこへ行っても自分の母国語で文書を書いたり読んだりしたいですよね。コンピュータでそれを実現するためには、利用者が複数言語を使用できなくても、コンピュータがあらゆる言語の全部の文字を表示しできて、どんな言語を書く人でも文字を入力できなければなりません。でも、まだまだ実現されていません。

    なぜ実現できないのでしょうか?単純な理由です。文字を全部知っているわけではないからです。国際化を研究している人々に、どんな言語のどんな文字でも知っているか聞いてみてください。私を含め、知らないと答えるでしょう。私は、全世界の文字の構造を分析しました。構造は有限ですので、分析できます。構造すらわからなかったら、国際化の実現は不可能です。文字の構造は、言語に依存していますので、言語学が必須です。

    文字は、その文字で表記される言語にぴったり合っているわけではありません。ですから、時々改革されます。勿論、あまり知られていない文字もあります。最近改革された文字や、あまり知られていない文字を知るためには、現地に行って調査します。僻地にも行きますので、医学の知識が必須です。無ければ行けないような所にも行きましたし、冒険をすることにもなりました。事実はインディー・ジョーンズより奇なりです。インディー・ジョーンズのまねをしたくて研究しているのではありません。彼より危険な経験をしているからといって、私をインディーと呼ばないように。

    国際化の研究は、言語と文字の歴史的知識も必要です。焦って間違った結論を出してもいけません。字を読み書きできないシステムを作ってしまいます。文化の差は対立の原因ともなりますから、絶対に何からも中立でなければなりません。この件では、お上の仕事もしておりますので余計に中立は必須です。


地平線を訪ねて

    世界のあちこちで、賢者たちから文化と共に言語を学びました。文化が理解できなければ、言語を理解できません。互いの価値を認め合った時の人間としての共感は、思想・宗教・文化の押し付け合いからは生まれないと賢者は言います。私は医学者で、生命が第一に重要ですから、宗教や国境など、少しでも他人を差別しかねない要素を排除しています。私は、遠い所にでかけ、帰ってきました。遠方で出会った素晴らしい友人たちと、いつも再会したいと思っています。
Copyright (C) 2001, Feb 20 by Yutaka Kataoka
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